お墓の維持・管理、実際どうしてる?利用者インタビュー

お墓を持つ上で避けて通れないのが「維持管理」の問題です。お墓を購入したあとも、日常的な掃除や年ごとの管理費支払い、法要の準備など、継続的な手間と費用が発生します。では、実際に都立霊園でお墓を持つ人々は、どのように維持・管理をしているのでしょうか? 今回は、都立多磨霊園を利用している2組のご家族にインタビューを行い、その実態に迫りました。


■ ケース①:月1回の「墓守り」が家族の習慣に

(杉並区・60代女性/母・夫と3人で利用中)

「私たちは月に一度、家族でお墓参りを兼ねて清掃に行くようにしています。多磨霊園は自然が多く、四季折々の景色が楽しめるので、訪れるのが楽しみなんです。」

Kさんの家族では、墓石の水洗いや雑草取り、花の入れ替えなどを定期的に行っており、年に数回は近所の石材店に清掃や補修も依頼しています。

「手間はかかりますが、かえって家族の絆が深まっていると感じます。母も『ここに来ると落ち着く』とよく言います。」

都立霊園は公園のような広々とした空間であるため、掃除や墓参りが苦にならず、家族の行事として根づいている様子が印象的でした。


■ ケース②:遠方在住でも維持は可能?管理代行を活用

(大阪府在住・40代男性/実家の墓を維持中)

「都内にある実家の墓を、私が大阪から管理しています。頻繁には行けないので、霊園近くの石材店に年間管理契約をお願いしています。」

Sさんは現在、年に一度だけ東京を訪れて墓参りをしているとのこと。その間、定期的な清掃や供花の交換、墓石の点検などは、石材店が行ってくれているそうです。

「追加料金で墓誌への文字彫りや、お盆前の特別清掃なども頼めるので助かっています。多少の費用はかかりますが、精神的にはとても安心できます。」

こうした管理代行サービスは、都立霊園の利用者にとって特に高齢者や遠方在住者にとっての大きな支えになっており、今後ますますニーズが高まりそうです。


都立霊園の「管理料」とは?

都立霊園では、墓所の利用者に対して年に一度「管理料」が課されます。この管理料は霊園の清掃、緑地の手入れ、施設の維持に使用されるもので、墓所の広さに応じて金額が変わります。たとえば一般墓所(2㎡程度)であれば、年額3,000〜5,000円程度が相場です。

この管理料は、あくまで「共有部分の維持」のためであり、個々のお墓の清掃や供養は利用者自身の責任となる点は注意が必要です。


墓守は“負担”か、“つながり”か

維持・管理の手間は確かにありますが、多くの利用者はそれを「負担」ではなく「つながりの時間」として捉えています。墓参りを通じて家族で集まる機会ができたり、日々の感謝を表す場所になったりと、お墓は単なる石の記念碑ではなく、心の拠り所でもあるのです。

また、近年では霊園の近隣に清掃代行業者や供養サポートサービスも充実してきており、個々の事情に応じて管理方法を柔軟に選べる時代になっています。


まとめ

お墓の維持管理は一見手間がかかるように思えますが、工夫次第で生活にうまく組み込むことができます。都立霊園のように、管理環境が整っている公営墓地では、管理の負担も比較的少なく済み、安心して長く利用できるのが魅力です。

「どう維持するか」は、「どう供養していくか」と表裏一体。家族のあり方や価値観に合わせた、お墓とのつきあい方を考えることが、心の安らぎにつながる第一歩かもしれません。