秋風が心地よくなってきた頃に ― 都立霊園抽選後、次の一歩を考える

コラム

10月に入り、朝晩にはようやく秋の空気を感じられるようになりました。昼間はまだ残暑が残るものの、風に混じる涼しさに季節の移ろいを感じます。
この時期、都立霊園希望者にとっては、9月に発表された2025年度(令和7年度)の抽選結果を受けて、来年再チャレンジを目指すか、別の霊園を探すかを考える“決断の秋”とも言えるでしょう。


2025年度の倍率動向:判断の材料となる数字

2025年度の募集における霊園別倍率の目安は、主なものでは次の通りと報じられています:
(※出典:都立霊園募集案内など)

  • 青山霊園・一般墓所(65区画):倍率 11倍
  • 谷中霊園・一般墓所(70区画):倍率 5.3倍
  • 小平霊園・一般墓所(110区画):倍率 3.9倍
  • 小平霊園・合葬墓(350体募集):倍率 26倍
  • 多磨霊園・一般墓所(345区画):倍率 1.9倍
  • 多磨霊園・合葬墓(640体募集):倍率 8.2倍

今年も青山霊園は引き続き高倍率の人気を集めており、11倍の倍率とのことでした。逆に都心から離れた霊園、合葬型や募集体数の多い区画の倍率は比較的落ち着く傾向も見られます。

また、過去データとして、2024年度(令和6年度)全体では公募受付数28,108件、一般埋蔵施設の倍率は約3.6倍、合葬型は7.1倍、樹林型合葬は3.0倍という統計もあります。 Tokyo Metro+1

こうした数字は、来年度の申込戦略を立てるうえで、非常に参考になる指標となります。


当選された方へ ― 石材店選びと供養設計を本格化させよう

当選された方は、これからが次のステップです。以下の点に注意しながら準備を進めてください:

  • 石材店の比較・見積もり:複数業者に相談し、施工実績や価格、アフターサービスを比較
  • 墓所設計の検討:区画の形・広さ・将来の改修性などを視野に
  • ペット供養との併用設計:都立霊園はペット納骨を認めていませんが、近隣寺院やペット供養塔と組み合わせる設計を考慮
  • 書類審査・使用料納入の準備:資格確認、納入期限を守ることで当選権利を失わないように

秋の気候は墓所見学にも適しており、現地に足を運びながら具体的な設計イメージを固めておくとよいでしょう。


落選された方へ ― 再チャレンジか道を変えるか

落選された方にとっては、選択を迫られる時期です。考えるべき選択肢と判断基準は以下の通りです:

選択肢利点注意点
来年再チャレンジ都立霊園の使用料や制度の信頼性を活かす抽選倍率は高く、当選まで数年かかる可能性も
民間霊園・寺院墓地を検討先着順・予約制のところが多く、柔軟性あり使用料・管理料が高くなる可能性あり
永代供養墓・合葬墓を含める承継者不要・管理負担軽減将来の参拝や供養形式を確認することが重要

興味深いデータとして、都立霊園落選者の中で民営霊園を選ぶケースは非常に多く、そのうち約7割の人が民営霊園を購入しているという調査もあります。

抽選に外れてしまいましたが、むしろ、選択肢を広げたきっかけとして判断することが、満足度の高い供養選びにつながるでしょう。


まとめ:数字と現実を踏まえた“選択する秋”

抽選結果が出た今、数字という事実をもとに冷静に次の道を考える時期です。
当選された方は設計・施工・供養設計を進める準備期、
落選された方はチャレンジを継続するか、代替的な霊園を探すかの判断期。

倍率データを指針にしつつ、家族と相談しながら「本当に安心できる供養」の形を見定めていきましょう。秋風の中で、次の一歩を踏み出すためのコラムとして、ご活用いただければと思います。